教会学校 聖書のおはなし
夢を見るヨセフ」 創世記37  2020年11月8日 綿谷 剛兄

【ヨセフの夢と兄たちの妬み】
 先週はアブラハムの孫で、イサクの子ども、ヤコブのお話でしたね。父親を騙して兄弟のエサウから長子の権利を奪い取ったヤコブが、叔父さんのラバンの下に逃亡していたんですけれど、そこで家族をもって、故郷に帰ったお話でした。
 さて、ヤコブには息子が12人いました。特にその中でも、下から2番目の息子ヨセフを特に可愛がっていました。ヨセフには特に上等な服を着せてあげたりして、特別扱いしていたんですね。ヨセフもヨセフで、お父さんに可愛がられていることを良いことに、お兄さんたちが何か悪いことをすると、お父さんの告げ口するんです。だから、お兄さんたちは、ヨセフのことを、ほんとうに嫌な奴だと思っていたんです。
 ある時、ヨセフは不思議な夢を見て、お兄さんたちに話しました。
 「こんな不思議な夢を見たんだ。ボクたち兄弟が畑で麦の束を作ってたんだけど、突然、僕の束が起き上がってまっすぐに立ったんだ。そして、なんと、兄さんたちの束がボクの束の周りに来て、ボクの束を伏し拝んだんだ。」
 「何だ、その夢は! おまえが私たちの王さまになって、私たちを支配するとでもいうのか?」
 こんな話を聞いたお兄さんたちは、ますます、ヨセフのことが嫌いになったんです。
 ヨセフはまた別の夢を見て話しました。
 「太陽と月と11の星が私を伏し拝んだんだ。」
 太陽はお父さん、月はお母さん、11の星は兄弟のことです。
 これには、お父さんのヤコブも怒りました。
 「いったい何なんだ、おまえの見た夢は? 私やお母さん、お兄さんたちがお前のところに進み出て、地に伏しておまえを拝むと言うのか?」
 お兄さんたちはヨセフをますます妬みましたが、お父さんのヤコブは何か深い意味があるのでは?と思って、心に留めていました。

【売られたヨセフ】
 ある時、お兄さんたちは、羊の群れの世話をするために、シェケムというところに出かけて行きました。あまりに帰りが遅いからなのか、お父さんのヤコブは、ヨセフに使いに出すことにしました。
 「兄さんたちが、羊の群れを連れて出かけたのだが、様子を見て来てくれないか。」
 「分かりました。行ってきます。」
 ヨセフは、兄さんたちを捜しに遠い野原に出かけました。広い広い野原を歩き回って、やっと兄さんたちを見つけました。ところが、兄さんたちは、ヨセフがやって来るのに気づいて、悪い相談をしました。
 「おい見ろ、ヨセフだ!」
 「夢見る奴が来たぞ!」
 「よし、あいつを殺してしまおう! 獣に殺されたことにすればいいんだ。そして、あいつの夢がどうなるのか、見てやろうぜ。」
 でも、長男のルベンは反対しました。
 「いくら何でも、弟の血を流すのはダメだよ。どこかの穴にでも投げ込んでおこうよ。」
 ルベンはあとで行って助けるつもりでした。兄さんたちは、やってきたヨセフを捕まえると、お父さんの与えた上等の服をはぎ取って、荒野の深い穴に投げ込んだんです。
 兄さんたちは、ヨセフを穴に投げたあと、座って食事をしていたところ、エジプトに向かう外国の商人たちが通りかかりました。
 兄さんのユダは、言いました。
「弟を殺したところで何の得もない。それよりあの商人たちに売り飛ばしてしまおう」「うん、それもそうだな」
 兄さんたちはヨセフを外国の商人たちに売ってしまいました。そのとき、そこにいなかった長男のルベンは、心配になって穴を覗き込むと、もう、ヨセフはいませんでした。

【悲しむヤコブ】
 兄さんたちは、お父さんのヤコブがヨセフに与えた上等の上着に、ヤギの血をつけて、使いを送ってお父さんに届けました。
 「荒野でこの血のついた上着が落ちているのを見つけました。ヨセフのものじゃないかと思うのですが、確認していただけませんか?」とウソをついたんです。
 「確かにヨセフの長服だ!ヨセフは、獣に噛み殺されたんだ!」
 お父さんの驚きと、悲しみはどれほどだったでしょう。お父さんのヤコブは自分の衣を引き裂き、粗布を腰にまとい、何日も何日も、ヨセフのために嘆き悲しみました。

 商人たちは、ヨセフを遠いエジプトの国に連れていきました。

 ヨセフは、お父さんに愛されて、ぬくぬくと生活していましたね。ヨセフは、夢をみました。その夢が将来にその通りになると思ったかどうか、分かりません。それが神様の計画だと信じたかどうかは分かりません。でも、きっと、自分の人生は、素晴らしい未来が待っていると思ったかもしれません。でも、今、ヨセフは兄さんたちに殺されかけ、エジプトに売り飛ばされ、お父さんには獣に殺されたことにされるという、本当にひどい、苦しい状況におかれてしまいます。
 私たちにも思いがけない試練に合うことがあるかもしれません。でも、その背後で働いておられる神様の計画と、どんなときでも共にいてくださるイエス様を忘れないでいましょう。
 さて、ヨセフはこのあとどうなるか、来週のお話です。

                 (「成長」の教案を参考にアレンジしています。)