教会学校　聖書のおはなし
「エマオへの道｣　ルカ24:13-35　　2021年4月11日　綿谷　剛兄

【エマオに向かう弟子たち】
　先週はイエス様のお墓に行った女性たちが、お墓が空っぽになっているのを見、み使いによって、イエス様はよみがえられたことを知らされ、弟子たちに報告したというお話でした。
　さて、ちょうどその日、二人の弟子がエルサレムから約10キロ余り離れたエマオという村へ向かっていました。　二人は、歩きながら、女性たちの証言について、議論をしていました。
　「イエス様の遺体はどこにいったのだろう？」
　「み使いが現れたって本当だろうか？」
　「イエス様がよみがえられたって言っていたが、どういうことなのだろう？」
　議論をしてみても、本当のことは分かりません。
　二人が論じ合っているところに、1人の人が近づいて来て、二人と共に歩き始めたのです。

【弟子たちに働きかけるイエス】
　二人には、それが誰なのか、分かりませんでした。その人は言いました。
　「先ほどから、お二人が議論をされていますが、何のことを話されているのですか？」
　すると、二人は暗い顔をして立ち止まりました。そして、その一人、クレオパという人が、答えました。
　「あなたも、エルサレムに滞在しておられたのでしょう？　あんなに衝撃的なできごとを、あなただけがご存じではないのでしょうか？」
　「どんなことですか？」
　「それは、ナザレ人イエスのことです。この方は、さまざまな奇跡を行い、病気の人々を癒し、素晴らしいお話で神様の愛や救いのことを教えてくださり、力ある預言者でした。それなのにユダヤの指導者たちが、この方を死刑にするためにピラトに引き渡し、十字架につけて殺してしまいました。私たちは、この方こそ、イスラエルをローマ帝国の支配からイスラエルを開放し、新しい国づくりをして下さる方にちがいないと、望みをかけていたんです。それが、こんなことになってしまって、望みが絶たれ、挫折感を味わい、あまりにも悲しくて悲しくて、どうしたらいいのか分からなくなってしまいました。
　ところが、そのことがあってから、三日目になるのですが、本当に驚きました。仲間の女性たちの何人かが、朝早く墓に行ったのですが、イエス様の遺体が見当たらなかったと言って、戻って来たんです。そして、自分たちはみ使いたちの幻を見た、イエス様はよみがえられて、生きておられると告げた、と言うのです。
　それで、ペテロたち、仲間の何人かが墓に行ってみたのですが、まさしく彼女たちの言ったとおりで、イエス様のご遺体は見当たらなかったのです。」
　そう言いました。
　二人は、遺体がなくなったことは、理解した。でも、女性たちが、み使いに本当にあったことも、女性たちに話されたことも、イエス様がよみがえられたことも、にわかに信じられず、混乱していたのでしょう。
　そこで、男の人は言われます。
　「ああ、どうして、あなたがたは理解できないのでしょう。預言者たちがかつて言ったことを、信じられないのですね。キリストは、必ずそのような苦しみを受け、それから、その栄光に入るのだと、語られていたのを思い出してみてください。」
　それから、その人は、旧約聖書の預言について、イエス様について、聖書全体に書いてあることを、二人に説き明かしました。

【目が開かれた弟子たち】
　三人は、エマオの村の近くに来ました。二人は、時間を忘れて、その人の話を熱心に聞いていましたが、その人はそのままエマオよりもっと先まで行きそうな様子でした。もっと話が聞きたい。二人はそう思ったのでしょう。
　「ぜひ、一緒にここでお泊りになって下さい。もう暗くなって来ましたし、ぜひ話の続きを聞かせてください。」
　「分かりました。今日は、ここで泊まることにしましょう。」
そして、二人と一緒に食卓に着くと、その人は、パンを取って、神様をほめたたえ、パンを裂いて二人に分け与えられました。
　「あっ、この方は、イエス様だ！」
　二人が、気づいたとたん、
　「えっ？　どこに行かれた？」
　イエス様の姿は見えなくなりました。

　「イエス様だったよね？」
　「うん、確かにイエス様だった。」
　「道を歩きながら、お話しくださる間、私たちに聖書を説き明かしてくださる間、私たちの心は内で燃えていなかった？」
　「実は私の心も熱く燃えていたんだ。」
　「こうはしていられない。エルサレムに戻らなきゃ。」
　「仲間たちに、このことを伝えなきゃ。」
　そして、二人はただちに立ち上がって、エルサレムに戻りました。帰ってみると、十一人の弟子たちとその仲間が集まっていました。
　そして、「イエス様は、本当によみがえられて、ペテロに姿を現された。」
という話をしていたところでした。
　二人も自分たちの体験を弟子たちに話しました。弟子たちは、イエス様がよみがえられたのは、どうも、本当なのかもしれない、そう思い始めました。それが、確信に変わるのは、来週のお話のできごとまで待つ必要があります。
　　　　　　　　　　　　　　　　　（「成長」の教案を参考にアレンジしています。）