教会学校 聖書のおはなし
地の塩 世の光」 マタイ5:14-16  2021年7月11日 綿谷 剛兄

 イエス様は、ご自身を信じる人を「地の塩」「世の光」だとおっしゃいます。
 私は、小学生の頃、歌手になりたい、なんて思っていました。私の上の世代だと、医者になりたい、博士になりたい、大臣になりたいとか言う子どもが多かったようですが、昨年春の調査では、小中学生の将来なりたいのは、男子が野球選手、女子はパティシエだそうです。こういうなりたい職業につくためには、そのための勉強をし、準備をし、資格試験等の審査を受けたり、いろんな努力が必要だと思います。
 さて、今日の聖書の箇所で、イエス様は、「あなたがたは地の塩です。」「あなたがたは世の光です。」と言われています。「地の塩になりなさい」とか、「世の光になりなさい」と言われたのではないのです。今、すでに、あなたがたは、「地の塩だ」「世の光だ」と言われています。

【地の塩として】
 「あなたがたは地の塩です。」
 「塩」の役割は何でしょうか。塩味をつけて食べ物の味を引き立てる効果がありますね。そして、食べ物の腐敗を防止する効果があります。そして、もう一つ、これから、梅雨が終わって、暑い夏になると思いますが、熱中症の心配がありますね。熱中症にならないようにするには、水分だけではだめで、塩分の補給も大切だと言われていますね。私の会社では、屋外で働く人に塩飴というのを配って、塩分の補給をしてもらっています。私たちのからだを維持するためには、塩分は大切なんですね。
 塩ってどうやって作りますか?日本では昔から海の水から水分を蒸発させて塩を作る手法がとられて来ました。今は、イオン法という方法で、海の水から機械を使って塩が作られています。
しかし、世界では、岩塩を利用する方法が多くとられています。古代のイスラエルも岩塩を用いていました。まさに、「海の塩」でなく、「地の塩」です。
 しかし、イエス様が譬えて言われている「地の塩」の「地」というのは、私たちが生活している場所のことを言っています。いろんな人々が住んで生活しているこの社会のことを指しています。私たちは、その中で、「地の塩」としての役割を持っているのだ、とイエス様はおっしゃいます。
 私たちは、この社会の中に良い味付けをする役割を持っている。私たちは、この社会が悪い方向に流れるのを防ぐ役割を持っている。そして、私たちは、この社会の中で、必要不可欠な大切な存在なのだ。とイエス様はおっしゃいます。
 そして、「もし、塩が塩気をなくしたら、何によって塩気をつけるのでしょうか。もう何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけです。」と言われます。おそらくこの頃産出された岩塩は、私たちが使っている精製塩とは違って、不純物が多く、放っておくと塩分が溶け出し、不純物だけになって苦くなり、塩の効能がなくなってしまうのでしょう。それと同じように、神様が与えてくださっているこの役割を投げ出さずに、自分に何ができるか考えてやってほしい、とイエス様はおっしゃっています。

【世の光として】
「あなたがたは世の光です。」
 聖書が語っているように、イエス様は「光」です。私たちは、イエス様の「光」に照らされています。そして、イエス様の「光」を受けた私たちは、また、「世の光」としての役割を持っている。イエス様はそうおっしゃいます。
 「光」はエネルギーの源です。神さまは、天地創造の時、「光あれ」という言葉で、世界を造りはじめられました。物の形がわかるのは「光」があるからです。物に色があるのは「光」があるからです。太陽の熱は、「光」によって地上に届けられます。
 「光」は人を導きます。道を照らし、行くべき方法を指し示します。この世界は、多くの苦しみや悲しみ、多くの社会的な矛盾、争いや差別があります。どのような方向に進めば良いのか、どのような生き方をすればよいのか、行くべき道が見えない、まるで暗闇の中を生きているような状態です。そんな中で、あなたがたは「世の光」としての役割を持っているとおっしゃるのです。
 「山の上にある町は隠れることができない。」 「また、明かりをともして升の下に置いたりはしない。燭台の上に置く。そうすれば、家にいるすべての人を照らす。」と言われます。
 そして、「このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせなさい。」と言われます。けして、私たちに与えられている「世の光」としての役割を、隠していてはいけない。この世の中で働かせなさい。そうおっしゃるのです。

 最後に、イエス様は、「人々があなたがたの良い行いを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。」と言われます。私たちが、「地の塩」「世の光」としての役割を認識し、ためらわずに行動を起こすとき、世界は神様に向かって動き出す。そのようにイエス様が言っておられるように思います。

                 (「成長」の教案を参考にアレンジしています。)