メッセージ(大谷孝志師)

伝道は教会の大切な働き
向島キリスト教会 主日礼拝説教 2017年10月1日
聖書 使徒13:1-12 「伝道は教会の大切な働き」 牧師 大谷 孝志

 「使徒の働き」という題が付いていますが、この書の多くの部分には、十二使徒の一人ペテロと初めは教会を迫害していましたが復活の主イエスが彼に会い、回心して異邦人の為の使徒となったパウロの二人の働きが記されています。しかしこの書の陰の主役は聖霊であり、「聖霊行伝」と呼ぶ人もいます。復活した主イエスが約束した通り、使徒達に聖霊が降り、彼らは聖霊に満たされ、聖霊が語らせるままに語り、聖霊に遣わされて各地で福音を宣べ伝え、全て聖霊に命じられるままに行動しているからです。

 前回も学びましたように、パウロとバルナバはアンテオケア教会で大きな働きをしていました。その教会には他にも預言者、教師達がいました。彼らが主を礼拝し、断食していると、聖霊が「バルナバとサウロを私の為に聖別して、私が召した任務に就かせなさい」と言いました。「礼拝し、」は私達が今しているような礼拝ではありません。「仕える」「奉仕する」と訳される言葉で、「断食をして」いたと合わせて考えると、彼らが、伝道という教会の大切な働きの為に自分達がすべき事について、主のみ旨を求めていたと思われます。それは神からの啓示を求めることであり、啓示という神との接触の機会が与えられるに相応しい者となる為に彼らは断食をしていたのです。私も今、求道者の方々が信仰告白とバプテスマに導かれる為に、長期間教会を離れている人々の中で週報等を送っている人々の為に、教会員の家族と地域の人々の為に、という三つの課題の為に何ができるかを主に尋ねていますが、断食して主に尋ね求めることが必要と教えられました。

 聖霊が「私」と言っていますが、父なる神、子なる神、聖霊なる神は、一人の神、主だからです。主はバルナバとサウロの名を知っていたのです。主は二人を「私の為に聖別しなさい」と言いますが、人が人を聖なる者とすることはできません。牧師は、聖餐式のパンとぶどう汁を聖別します。またバプテスマを施します。これらを牧師ができるのは、キリストの体である教会が牧師にその権威を託したからです。教会はそれだけ重い責任を主に託されていると知ることは大切です。主は、シメオン達に二人が主の働きをするに相応しい者となるよう彼らを聖別する権威を委ねたのです。

 次に主は「私が召した任務に就かせなさい」と言いました。「召す」は呼び出す、来させるという意味を持つ語です。この任務は伝道、福音を伝えることです。彼らはそれまで懸命に伝道してきました。彼らの働きによって多くの人が救われました。でも改めて、主が彼らを召したのです。それは、まだ福音が届いていない新しい世界で伝道し、福音を伝える為でした。

 パウロとバルナバは日本に来た多くの宣教師のように、主イエスを信じれば救われるという福音を知らない人々に伝える任務に就かされたのです。彼らには厳しい前途が待っています。しかしそれは主が召した任務です。主が共にいて助け導いて行わせる任務です。ですから、シメオン達は断食と祈りをして、二人の上に手を置いてから、送り出しました。この伝道が自分達の教会の大切な働きと知るから、彼らは断食と祈りをしたのです。

 彼らは教会から送り出されたのですが、二人は「聖霊に遣わされ」たのです。私達は人間として主に用いられて自分にできる事をします。しかし、自分達の意志で自分の思いのままにしているのではないと教えられます。聖霊が私達を主の計画に従って召して、遣わし、できる事をさせていると知りましょう。私達は土の器であっても、主の偉大な力によって実りある働きができます。主が共にいて、助け導きつつ、働かせて下さるからです。

 二人は主に遣わされてキプロス島に着きました。主がこの島の人々を救う為です。彼らはまず、ユダヤ人の諸会堂で福音を伝えました。パウロは初め教会の迫害者でしたが、主は彼に会い、彼が見当違いの事をしていたのに気付かせ、異邦人、王達、イスラエルの子孫へ福音を伝える器に任命しました。彼の一番の使命は異邦人伝道ですが、異邦人に直接語り掛けるのではなく、ユダヤ人の諸会堂という場を利用したのです。ユダヤ人は二人と同じ神を信じているので、神による救いを理解し易かったからです。異邦人達は、私達の周囲の日本人と同様に、キリスト者を外国の宗教を信じる者と見て、警戒し、敬遠していました。その為、先ずその地域のユダ人に働き掛け、救われたユダヤ人を通して、主イエスを信じる素晴らしさを知らせようとしたのです。私達の多くも救われた日本人を通して主イエスを信じることの素晴らしさを知り、信仰を与えられ、礼拝に来ています。

 しかし主は、彼らの思いとは全く違った方法で、この島の人々を救いへと導きました。主は不思議な事をする方です。偽預言者の魔術師を使って二人をこの島の総督に接触させたのです。魔術師は総督に取り入っていたのですが、総督が二人を招いて神の言葉を聞きたいと思っていると知り、総督を二人から遠ざけようとしました。するとパウロは聖霊に満たされ、彼を睨み付け、断罪します。聖霊は彼の言葉通りに魔術師に罰を与えます。

 私達が礼拝している主は、今朝の箇所で聖霊として具体的に人々に関わっている主です。聖霊は教会に語り掛け、パウロとバルナバをキプロス島に遣わし、その島の総督に主の意志と実行力を見せつけ、主イエスを信じる者とし、救いました。主は今も働き、御力を私達を用いて現そうとしています。主にしっかりと心を向け、主の栄光を現す器となるよう心掛けましょう。主は私達を用いて、御力を示し、栄光を現されると信じましょう。