メッセージ(大谷孝志師)

苦悩の理由は神のみが知る
向島キリスト教会 主日礼拝説教 2018年10月28日
ヨブ11:1-6 「苦悩の理由は神のみが知る」  大谷孝志牧師

 私も愛する家族の突然の病気や怪我に直面してきました。その時、何故という思いが私の心を占めていました。何も悪い事した覚えがないのに、何故こんな苦しい思いをし、将来に不安を感じながらすごさなければならないのか思ったこともあります。しかし主イエスを信じていたので、立ち直り、前を向いて歩み始められました。今の自分の状況は神が理由があって与えた状況と信じられたからです。どんなに苦しくとも自分達は神の愛の内に今生きていると信じ、安心できました。これが主イエスを信じる信仰の素晴らしさです。その事を今日の礼拝で皆さんに伝えたいと思います。

 今日の箇所は、他の友人達とヨブの対話を聞いていたツォファルの答えです。彼は間違った事を言っていません。しかしヨブの言葉を表面的にしか捉えていません。彼の言葉を自分の知識や経験で理解するだけでなく、それを基準に彼の言動を裁いています。私も同じような事をしていることがないか反省させられます。ツォファルは彼が自分の過ちに気付くよう諭しています。自分は正しいと考えているからです。しかし、私達は彼と同じような事を考えても、彼のように相手に言えるでしょうか。確かに彼の言葉は自己中心的に聞こえます。でも、自分の言葉でヨブに語り掛けています。彼は心からヨブを心配し、幸せになって欲しいと願っているのは確かです。しかし、ヨブは神に自分の正しさを認めさせようとしている。言葉数は多いだけで内容は無く、人を納得させる根拠がないと決めつけます。更に、神を嘲っているのに気付かず、自分を正当化しているのに、ヨブの過ちを明らかにし、恥ずかしい思いをさせる人はいないのかと言います。

 そこで彼は、ヨブの言葉を取り上げ、間違いを諭します。ヨブが「自分は神に対して無垢であり、神の目に清い」と言ったからです。この「私」はヨブ、「あなた」は神です。しかし彼は前の二人のように自分の判断をヨブに押し付けなせん。神が語り掛けたら、ヨブに知恵の奥義を告げ、知性を倍にしたであろうと言います。しかし彼は神がする事に期待していますが、神に語り掛けられ、御心を知ったのではありません。彼は、御心はこうだと自分で判断した事を、自分がヨブに押し付けているのに気付きません。

 私達も苦悩する人に接する時、注意しましょう。苦境に立たされた人は、自己を正当化して局面を乗り切ろうとしがちです。その思いを簡単に否定せずに、相手の心に寄り添いましょう。神が理由があってしているのです。平安と解決を与えて下さいと、相手と同じ立場で祈ることが大切なのです。

 ツォファルの言う事は確かに正しいです。しかし彼は、ヨブがこの状態に置かれているのは、御心であり、ヨブが自分自身の罪に気付き、神に憐れみを求めることで、神に守られて安らかに生きる者となる為と言います。ですから、自分が罪を犯したことを認め、神に赦しと憐れみを求めるなら、神は祝福を与えると彼を諭します。一見正しく見えます。でも間違いです。彼らはヨブが、神の民であれば当然知っている筈の事をヨブか知らないから、神に不平不満をぶつけていると決め付けているからです。彼らは神はこういう方だとの確信を持っています。その信仰的確信に立ってヨブを見、彼を助け出そうとしています。だから彼に寄り添っているつもりで、彼を更に深い谷に突き落としているのに気付けないのです。悩み苦しむ友に寄り添おうと思うなら、相手の苦悩についての先入観をまず消し去り、素直に相手を見つめましょう。苦悩している相手を見る時、神がその人を愛し守り導いていると信じましょう。冷たい言い方に聞こえるかもしれません。でも、相手が苦境に陥っているのは、神が目的をもって相手にその状況を与えているからなのです。その思いを持つ時、自分にも相手にも平安が与えられます。この考えはツォファルとは違います。人に判らなくても、神が相手の為に最も善い、必要な事をしているとの確信に立って、相手を見ているからです。理由があるなら、神がその人に必要な事やものがあるからです。その時、真の希望と勇気を与えられ、共に前向きに生きられます。