メッセージ(大谷孝志師)
人生を無駄にしない為に
向島キリスト教会 夕礼拝説教 2019年10月27日
マタイ25:14-30 「人生を無駄にしない為に」 牧師 大谷 孝志

 テレビに様々なタレントが登場します。タレントとは才能や天分を持つ人のことを言います。元来はギリシアの通貨の単位ですが、今日の譬え話から、神からの賜物を意味するようになり、今は天賦の才能を持つ人をタレントと呼びます。

 今日の譬え話は、天の御国はこういうものだと主イエスが教えたものです。主は弟子達だけでなく、主イエスを信じる全ての人に天の御国に入れてもらうにはこうしなさいと教えています。今、キリスト者は神から、それぞれの能力に応じて神の財産を預けられているのです。この主人は自分の僕達にお金を預けました。一人には五タラント、一人には二タラント、もう一人には一タラントを預けて旅に出ました。一タラントは六千デナリです。一デナリは当時の労働者の日給です。日給を八千円とすると一万タラントは四千八百万円、五タラントは二億四千万円になります。このような莫大なお金を、主人が彼らに預けたことになります。

 この譬え話は世の終わりについて教えた譬え話の一つです。この譬えでは主は、世の終わりの時に備えて私達が気を付けるべき幾つかの事を教えています。一つは、私達自身が自分の能力を過小評価してはいけないということです。自分には出来ない、自分は期待されていないと思い込んで、物事に消極的になったり、周囲の出来事に対して無関心を装ったりすることはないでしょうか。また、自分で自分が恥ずかしくなり、自分の能力を隠してしまうことはないでしょうか。主は私達の能力は神からの賜物だと、私達に気付いて欲しいのです。私達一人ひとりが、神様から豊かで非常に素晴らしいものを頂いているのです。だから、安心して互いに愛し合い、励まし合い、助け合って生きられるのです。自分の物も時間も、相手にいくら与えても大丈夫なほど豊かなのです。旧約時代のエリヤを養ったやもめの瓶の粉と壺の油のように使っても使っても無くならないからです。もう一つは、今生きているのは、神の内に意味と目的があるから生かされているということです。明日という日は、今日とも先週の月曜とも同じ日ではありません。27日は10月では今日だけ、10月28日は今年は明日だけです。そして2019年10月28日は私達の人生において明日一日だけです。私達は明日という特別な日を生きるのです。明日は食べて寝て、ぼーっとするだけでなく、何かを生み出す為に私達に与えられる日なのです。例えば、明日ある人と出会い、その出会いがその人の、或いは自分の一生を左右する出来事が起きるかもしれないのです。それほど決定的ではなくても、他の人に何かを経験、体験させる為に、自分が経験する為に、今日を明日を生きると気づき、人生を無駄にしないで欲しいと主が望んでいます。

 最後に、五タラント儲けた人と二タラント儲けた人が全く同じ言葉で褒められます。主は私達に、神は人の言動の結果で人を評価しない、と教えるのです。私達が、自分が人からどう見られているかを気にしがちだからです。気にしないつもりでも、あの人がこんな事を言っていたということが耳に入ると、気になって仕方がなくなります。主は、評価は神に任せればよいと教えます。神に任せられると本当に楽になります。人は見える所で、今の状態で全てを判断しますが、神は結果でなく、経過を見、その間の努力で判断して下さるからです。自分の思いで全てを決めると息苦しくなります。一生に一度の今日、明日を私達は生きるのです。自分の人生を無駄にせず、豊かな人生を生きる為に、人と比べず、神に任せ、自分に与えられた能力という賜物を自分なりに精一杯用いて生きましょう。