メッセージ(大谷孝志師)
一番大切なことは
向島キリスト教会 夕礼拝説教 2020年3月15日
マタイ6:25-34 「一番大切なことは」 牧師 大谷 孝志

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、世界中が騒然としている。主がここで言うのは、「何を飲もうかと、自分のいのちのことで、何を着ようかと、自分のからだのことで心配するのは止めなさい」私達は今、自分の命と体のことを心配して、感染を恐れている。だから、今日の主の御言葉は、今の私達にも通じる教え。「空の鳥は種蒔きもせず、刈り入れもしない。・…それでも、あなたがたの天の父は養っていて下さる」 そして、人はその鳥よりもずっと価値があると言う。確かに、人が鳥を食べても他の人は驚かないが、鳥が人を食べたら大問題になる。「人の命は地球よりも重い」と言うが、「空を飛ぶ鳥の命が地球より重い」と言わない。主がここで鳥と人を比べたのは、人だけを特別な存在として神が創造したから。

 人が命のことで心配するのは、命を失えばその人の存在そのものが無くなるから。しかしどんなに命を大切にし、長く生きようと思っても、寿命を延ばすことは人にはできない。同じように、どんなに注意深く心配して感染を防ぐ為の措置をしていても、ウイルスは目には見えず、完全に防ぐことは人にはできない。

 主はまた「栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも装っていなかった」と言う。現状に当て嵌め言い換えると、「神は私達を様々な感染症から守り、健康にしているではないか」という意味に。しかしこれは、人が何もしなくても良いと教えるのでは無い。「装う」のは花自身の為でもあるが、見る人の為でも。花の装いを見て、人の心は豊かになり、時には慰められ、時は励まされ、希望や勇気を与えられることも。花は装われることにより、花として使命、役割を果たしている。その花一つ一つに神が存在価値を与えている。私達人間一人一人にも、自分にしか果たせない役割を神は与えている。人が生きていることにはそれだけの意味と重さがある。人には分からなくても、神は目的をもって人を生かしている。神が生かしているのだから、人は安心してこの世で生きよと主は教えている。

 主は「何を食べようか、何を飲もうか、何を着ようかと言って心配する人達は、信仰の薄い人達だと言う。」主イエスは、私達が主を信じていると言いながら、新型コロナ感染対策の為に、マスクをどうしよう、消毒薬をどうしよう、人に接するときにはどうしたら良いかと心配する姿を見ている。主はその人を見て「どうして怖がるのですか。まだ信仰がないのですか」と語り掛けているのではない。主が私達を見つめるのは、自分達にとって一番大切な事は、この世の全てを支配する神を信じ、心を鎮めて神を仰ぎ見、神に全てを委ねていることと私達が気付くのを待つから。私達はウイルスに感染しない為に必要な様々なものを切に求めている。しかし主イエスは、神は私達の天の父なのであり、これらのものが全て必要であると知っていると教える。だから主は「先ず神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて、それに加えて与えられます」と教える。

 主は私達に、無防備でウイルスに立ち向かえと言うのではない。私達の父なる神がこの世界の主であり、支配者であると信じ、神を自分の神として崇めなさいと言っている。心を鎮め、自分達が誰を信じているか静かに問い直してみよと言う。

 私達にとって一番大切なことは、自分達が万物の創造者、全知全能の神が支配する世界に生きているとの信仰に立つこと。騒然とした雰囲気に負けずに、心を鎮め、神の国と神の義を求めよう。神は私達の天の父。必要なものを与え、私達が生活の中で行う事を全て、守り導き、御栄えを現す。ここは神の国なのだから。