メッセージ(大谷孝志師)
ソロモンが求めたもの
向島キリスト教会 夕礼拝説教 2022年4月3日
T列王3:7-10「ソロモンが求めたもの」 牧師 大谷 孝志

 教会に招聘され、牧師として働く上で一番大切なのは、御言葉を正しく適切に語ること。それと同様に大切なのは、礼拝や集会に来る人々の思いを正しく受け止め、必要な対応をすること。人の知恵と力ではできない。主に上よりの知恵と力を与えられなければ出来ない事。今夕はソロモンを通してこの事を学びたい。

 ソロモンは世界史上でも有名なイスラエルの王、ダビデの子。父ダビデは王国を守る為に周囲の敵と戦い、強大な王国とした。だからソロモンは内政を重視でき、力を注げた。イスラエルは、自分達の罪により40年間荒れ野を放浪した後、約束の地カナンに侵入し、モーセの後継者ヨシュア、最初の王サウル、次のダビデ王によりカナンの地を征服し、平定した。しかし聖所を建てるまで行かず、カナン人の礼拝所を使って、主なる神に献げ物をし、礼拝していた。ソロモンは神の恵みに応える為、自分達の神殿が必要と思い、壮大な神殿を造り、イスラエルの礼拝所とした。彼の父ダビデは、ソロモンの母バテ・シェバを夫ウリヤから奪う罪を犯し、最初の子は神に取られて死んだ。しかし、悔い改め、神に赦され、神への信仰を堅く守り、ソロモンが3:6で言うように、神に対し、真実と正義と真心を持って、御前に歩んだ。イスラエルの人々から「父ダビデ」と呼ばれた人。

 ソロモンは自分が王となったのは、自分の力によってではないと知る。勿論、王位を狙う敵を策略を持って打ち倒したので、自負心はあったが自惚れなかった。単なる謙虚と言うより、父や祖父達の信仰を受け継いでいたからと思う。しかし、荒野放浪時代の遊牧民族から、カナンに定住し、農耕民族となることで、唯一の神を信じ、神の恵みと祝福の中に生きるその信仰が揺らぎ始める。王位に就いた後、強大な隣国エジプトとの融和を図り、パロの娘と結婚した。その後も多くの異国人の女性を愛し、彼女達が彼の心を他の神々に向けた。彼の心は父ダビデの心と違って、彼の神、主と一つになっていなかったとT列王11:3-8にある。その彼に神は怒りを発し、イスラエルは北イスラエルと南ユダに分けられてしまった。

 しかしその彼だが、王となった時、彼は思いをまっすぐに彼の神に注ぎ出し、王として人々を裁く為に、聞き分ける心を僕に与えてと願ったとある。私達はその彼の良いところも見て学ぶべき。それを聞いた神は、彼の真心から出たものと認めた。彼が自分の長寿を、自分の為の富を、敵のいのちをも願わずに、自分の為に。訴えを聞き分ける正しい判断力を願ったことを良いとし、願ったものを与え、願わなかった富と誉れも与えたから。神は人と生き生きとした関係を持つ。私達も必要なものを与える与えないを決める権威、いつ与えるかも決める権威を持つ神に、心を鎮め、良いと認められるものは何かを考えよう。彼は何故神が良いと認めるものを求められたのか。彼は民が幸いな生活ができるよう願った。人は良い思いも悪い思いも持つ。彼は民の上に立つ者として、民が幸福感を持って生活できるよう、その為に必要な判断力を神が自分に与えるようにと願い求めた。

 彼は神に豊かな知恵を与えられたが、後にイスラエルの王であるのに神以外の神々を崇め、千人の妻や側女を持ったような人間性の持ち主。それでも彼は初めは民の為の王としての自覚を持っていた。しかし初心を忘れた。「初心忘るべからず」と言う。私達も主を信じ、救われた時の神と自分への思い、主が共にいると知り、感謝した初心を思い起こそう。私達も主の為、共にいる人々、様々な関係を持つ人々の為に生かされている自分と知ろう。そこに立ち、再出発を図ろう。