メッセージ(大谷孝志師)
必要なのは神の知恵
向島キリスト教会 夕礼拝説教 2023年11月5日
ルカ12:29-34「必要なのは神の知恵」 牧師 大谷 孝志

 T列王記3章にソロモンが王となった時、主が夢の内に現れ「あなたに何を与えようか。願え」と言うと、彼は「善悪を判断してあなたの民を裁くために、聞き分ける心をしもべに与えて下さい」と言った。彼が自分の為に長寿、冨、敵の命を願わず、自分の為に正しい訴えを聞き分ける判断力を願ったので、主は喜び、彼に知恵と判断力に加えて冨と誉をも与え、その後の人生はその通りになった。

人は成功を願い努力する。しかし、その前に願うべき事があるを聖書は教える。人生の充実感、成功の喜びは、努力すれば獲得できるものではない。世の中、一人で生きているのではない。相手があるので、思う通りにはならないと思い悩み、自分や相手を責めてしまう。しかし人は主が言うように、いくら思い悩んでも、寿命を僅かでも延ばせない。だから自分は駄目だと落ち込む前に、自分は何者かを知れと主は教える。人は皆、主ご自身が人が罪の故に滅びないようにと十字架に掛かって死ぬ程に愛した大切な存在。主は言う「私はあなたの救い主。私の目には、あなたは高価で尊い」と。主は私達一人一人を御心に留めていると知ろう。

 しかし、人の目にはその主の姿は見えず、その声も聞こえない。だから、注がれている主の愛を感じきれず、自分で何とかしなければと思い、虚しい努力を続けてしまう。旧約聖書には、神が人に語り掛けたことが数多く記されている。新約聖書にもマリア等に御使いが直接御心を伝え、マグダラのマリアや使徒達、パウロにも復活の主が直接語り掛けている。私も一度だけ、主に語り掛けられた。

 ソロモンは、真実を聞き分ける心を与えてと主に願い、与えられた。私達も、その心を与えられている。主は父に「もうひとりの助け主」を弟子達に与えるように願った。父はその助け主が何時迄もあなたがた共にいるようにして下さると教えた。神がソロモンに正しい訴えを聞き分ける判断力を与えたように、私達と共にいる御霊が、直面した出来事にどう対処したら良いかを教えている。

 私達が御心を求めて聖書を読み、祈っている時だけでなく、不安にさいなまれ、悩み苦しんでいる時、ふと心に思いが浮かぶことがある。それは御霊が与えた神の知恵。私達には自分の思いに囚われ、利己的考えや人を妬む思いが心を支配することがある。その思いから解放され、神の知恵によって物事を判断することができると、私達は人を心から愛し、大切にできる。私達は自分は見える、相手の言葉を理解していると思っている。実は殆どは自分の思い込みに過ぎない。目が曇り、難聴になっている自分に気付いていない。だから、自分が間違った判断をし。それによって人を傷付けていても気付かなかったり、気付いても大したことはないと思い、そのままにしてしまう。それでは主が十字架の死によって与えている幸いな人生に、自分も相手も生きられない。主の愛が心に入らずに、頭の上を通過している。心を静め、聖書を読み、祈り、瞑想し、自分は何者であるかを見詰めよう。

 私達に必要なのは神の知恵。ソロモンが国と民の平和を求め、神の知恵を与えられたように、私達も神が愛するこの世の私達が接する人々が平和に過ごせるように、私達自身が神の知恵で物事を判断できるように、自分の判断力を優先させずに、自分が正しいことを行えるよう御霊の導きを求めよう。私達が主イエスのように愛の人になり、主が支配する神の国に生きる者と成ろう。それにより、世の人々も、互いに愛し合い支え合い、人として尊重される社会にすることが自分達の責任であり、努めと知って生きるなら、この世が神の恵みと平安に満ちた世界になる。